Topページ > 業界ニュース > 不動産市場は過熱気味なのか?
2016年11月18日

不動産に対する新規融資額が1980年台後半のバブル期を含めた期間も超えて2年連続で過去最高を記録したとのニュースが出ていました。

不動産融資、最高の7兆円=マイナス金利で、日銀は過熱警戒-16年度上期:時事ドットコム
 日銀は16日、銀行や信用金庫の不動産業向けの新規融資額が、2016年度上半期(4~9月)に前年同期比14.7%増の7兆706億円に達したと公表した。バブル...

ソーシャルレンディングは不動産担保が付いている案件の人気が高く、私を含めて既に投資している方にとっても気になるニュースだと思います。それでは現状は過熱気味でバブルなのでしょうか?

1980年代後半のバブル期

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バブル期には土地の絶対神話があり、土地価格が下がることはないという思い込みの元に銀行から融資を受けて土地を買って、そのまま転売することで多額のキャピタルゲインが受け取れるという時代でした。

ただしバブル崩壊後には不動産価格の下落によって、不動産業者は多額の借金を背負って倒産、銀行もたくさんの不良債権を抱えこんで長い不景気の時代を迎えることとなりました。

バブル崩壊後には収益還元法という物件評価方法が導入されていき、物件の価値は賃料と利回りという絶対的な数値から評価額を割り出す傾向に変わっていきました。2000年代のJ-REITの導入と共に物件から生み出される収益が重要視され、こういった考えが後押しされるようになってきました。

ミニバブル期

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そしてリーマンショックまでのミニバブル期には物件の売買によるキャピタルゲイン狙いの投資ではなく、賃料からの収益からインカムゲインを狙う投資へと変わっていきました。物件の価格も収益還元法というロジックにて評価を算出しているのでバブルのようなことは起こらないと強気な不動産業者がたくさんいましたが、結局はリーマンショックにて倒産に追い込まれていきました。

この時期に倒産した不動産業者は多額の借り入れをして物件を開発してそれを転売して収益を上げていた企業です。つまりはキャピタルゲインにて収益をあげていた企業です。純粋にインカムゲインのみを収益にしていた不動産業者は比較的ダメージ少なかったと言われています。倒産に追い込まれた企業は収益を上げ続けなければいけないため、不動産価格が高騰している中で次第に合理性のない金額での土地の仕入れなどを行い、開発をしてきたが最終的にはリーマンショックで銀行が融資を引き締め、買い手もいなくなり、資金繰りに苦しみ倒産していきました。

特に2000年代は中小のデベロッパーの勢いが凄まじく、J-REITを背景にして最終的にはファンドが物件を一括で買ってくれるため、どんどんと土地を仕入れては開発をしてファンドに売却することで規模を拡大していましたが、リーマンショックにて一気に資金繰りが難しくなり数々の会社が倒産していきました。

 

そして現在

今がバブルなのか判断するのは正直言って弾けないとわからないと思います、現在不動産価格は高騰を続けており、建築資材、及び建築関係の人手不足による建築コストの高騰、日銀政策による低金利の維持、中国人投資家のキャピタルゲイン狙いの不動産買い、平成27年の税制改正の流れからの相続税対策による個人の不動産売買など不動産価格が高騰している理由はいくつも挙げられております。

このまま高止まりしつつも上値は追わずに横ばい傾向が続けばバブルも弾ける可能性も低くなりますし、今後も上がっていくという楽観視の元、キャピタル狙いの投資家がどんどん売買を続け価格高騰が続いていくようであれば注意が必要になってくると思います。

ソーシャルレンディングへの影響

現在がバブルかどうかの判断は難しいのですが、ソーシャルレンディング投資家として気をつけておかなければいけない事は仮にバブルだったして、それが崩壊した時に投資している資金が戻ってくるのかということでしょう。ここでは仮に借手が破綻した場合にどのような影響が考えられるかを検討していきます。

担保なし案件

基本的に担保がない案件についてはどうにもならないので資金は戻ってきません。ですので高利回りであっても担保がない案件は避けたほうがいいでしょう。

不動産以外の担保案件

不動産以外の担保の案件については保全が効いているかの判断が難しく、担保の詳細な明記があれば多少は判断が付きやすいのですが、「売掛債権」や「有価証券」などと記載されていても、それに対して流動性があり、すぐ現金化可能なのかどうかなどによっても価値は変わってきますし判断が非常に難しいです。

不動産担保案件

ソーシャルレンディングの案件の中でも比較的保全が効いているとされ人気のある不動産担保案件についてですが、借手が破綻した際に担保物件を売却することで資金が確実に戻ってくるかは案件次第となります。

一番注意しなければいけない不動産担保案件は建築予定、建築途中、もしくはリノベ予定の物件に対して担保設定をしている場合です。その際の不動産評価額として完成予定後の評価を算出し、それを元にしている場合には注意が必要です。不動産を仕入れる際の土地のみの評価であればそれほど問題はありませんが、完成後の評価を元に抵当権設定している場合に、仕入れてから手を入れている間に何かあった場合には評価割れを起こす可能性が高いと考えられますし、流動性も比較的低くなっていまう問題点があります。(ちなみに今後開発するための不動産取得資金の融資を既にある別の完成物件を担保に調達する場合には問題ありません)

既に完成済みの物件に対しての抵当権設定は比較的安全と考えられますが、不動産評価額の何%まで抵当権を設定しているかが重要になってきます。評価額10億円の物件があった場合

10億円 × 70% = 7億円の第一順抵当権をして7億円貸付
10億円 × 90% = 9億円の第一順抵当権をして9億円貸付

それぞれ7掛け、9掛けでの設定例があった場合に、現在都内のキャップレート(ネット利回り)が4%だとすると年間賃料収入(ネット)が4000万となります。

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出典:野村総研 日本の不動産投資市場2015

↑のグラフからリーマンショック前後のキャップレートの差が商業東京銀座にて0.8%、つまり利回りが低いミニバブル時にて4%ぐらい、そしてリーマンショックが起きてから利回りが徐々に上がっていき一番高い利回りで4.7〜4.8%ぐらいになっています。2003年はもっと利回りが高くて5.5%ぐらいですので、グラフ全体としてみると1.5%のキャップレートの差が出ています。住宅の場合のキャップレートの差で2%弱になります。ですので仮にバブルが弾けたとしても都心の住宅であれば2%、商業ビルであっても1.5%ほどキャップレートが上がることを見込んでおけば問題ないと判断できます。

上記の結果から、先程の10億円評価のビルがバブルが弾けたことによって評価がいくら下がるかを計算します。

4000万円 / 5.5% = 約7.27億円

7.27億円となります。キャップレートの差の1.5%を足した5.5%としておりますが、同時に不景気時には賃料も若干下がりますので、より安全を確保したい方は賃料も下げた形で計算すると

3600万円 / 5.5% = 約6.5億円

となり、この場合には担保評価の7億を下回る計算となります。

上記は比較的安全な計算をしており、何かあった場合に急激に数日で価格が下がるわけでもありませんので不動産鑑定評価額の70%ほどの抵当権設定であればほぼ大丈夫かと思いますが、90%ほどで貸付をしている場合には元本毀損してお金がすべて戻ってこない可能性も考えられます。

ソーシャルレンディング事業者のリスク

ソーシャルレンディング事業者の中にはソーシャルレンディングを複数ある中の1事業として運営して、本業で不動産事業を営んでいる会社がいくつかあります。そのような企業が不動産開発をしていたりする場合にはバブル崩壊と共に経営不振になり、全案件にて貸し倒れが発生する可能性もありますので事業者自体の見極めも重要となってきます。不動産事業の中でも仲介業、PM事業、コンサルティング事業などの業種は比較的安全といえると思います。

最後に

投資家の中には不動産担保さえあれば大丈夫だろうと安易な考えで投資している方もいるようですが、案件はなるべく精査して考えてから投資するほうがよいでしょう。割り切ってハイリスク高利回り案件を狙う投資は否定しませんが、予期せぬ出来事が発生した際でもなるべく元本が戻ってくるような案件に投資するのがいいかと思います。

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