Topページ > 基礎知識 > ソーシャルレンディングにおける担保、質権とは?
2017年2月28日
志塚 洋介
この記事は 志塚 洋介 が監修しています。

ソーシャルレンディングの案件には様々な担保がつけられていることがありますが、そのうち、質権が設定されているものがあります。普段はあまり聞きなれない言葉ですので、質権がどのような担保権なのか解説していきます。

質権とは

質権とは、債権者が、その債権の担保として債務者(又は第三者)から受け取った物を債務の弁済があるまで占有し、その弁済を間接的に強制するとともに、弁済がない場合にはその物から優先弁済を受けることを内容とする担保権です。

教科書的に言うとこのような定義になるのですが、分かりやすく言うと、担保となる物を貸し手側が保有する形態をとる担保権ということになります。所有権は債務者に残ったまま、対象となる物を債権者に引き渡し、債権者が占有することになります。対象の物を債権者が占有することで、債務者に対し債務弁済への心理的なプレッシャーをかけられる点が特徴的です、

ソーシャルレンディングでは、不動産の信託受益権や、親会社の株式などに質権を設定するケースが多いようです。不動産の信託受益権についてですが、SPCを活用したスキームの場合、SPCは信託受益権を取得して運用することが多く、信託受益権には抵当権を設定することができないので質権を設定することになります。

親会社の出資持分に質権を設定する場合は、融資先の事業会社の親会社が連帯保証人となっている場合が多く、親会社の株式を担保にすることになります。

その他、融資先の会社が持つ債権に対して質権を設定したり、融資先企業の親会社が融資先企業に対して持つ出資持分などに質権を設定したり、不動産自体に質権を設定する案件などもあります。

抵当権との違い

担保というと、抵当権を思い浮かべる方が多いかと思いますが、質権も有効な担保手段の一つです。ここで抵当権との違いを比較してみましょう。

まず一つ目の違いは担保の目的となる範囲が異なるということです。質権は譲渡可能な物・権利であれば、幅広く対象とすることができます。(民法343条)

一方、抵当権は不動産、地上権(借地権の一形態)、永小作権(他人の土地で耕作・牧畜する権利)にしか設定することができません。債務者が、担保価値のある不動産を持っている場合は、抵当権を設定すればよいのですが、すべての借り手がそうであるとは限りません。そういった場合、不動産以外の物(動産)や権利に質権を設定することで担保付きの貸し付けとすることができます。また、不動産にも質権を設定することができます。

もう一つの大きな違いは、留置的効力の有無です。前述のとおり、質権は担保の目的物の占有を債権者に移転することになります。抵当権では、目的物の占有は債権者には移動せず、債務者にとどまることになります。そのため、債務者はその目的物をそのまま使用・就役することができます。

返済が滞った場合

借り手の返済が滞った場合、質権を実行して回収することになります。実際には、法的実行と私的実行の2つの方法が考えられます。

法的実行とは、民事執行法の規定に従い、裁判所の手続きに乗せて競売等により質権の目的物を換価し回収する方法です。

私的実行とは裁判所の手続きに乗せずに、直接回収を図る方法です。基本的には法的実行よりも、私的実行の方が簡易に短期間で回収でき、費用もかからないことが多いというところが特徴的なところです。質権の目的物により、どのような実行方法をとるかはわかれるところですが、最終的にはソーシャルレンディング事業者がどの方法を取るかを決めることになります。

私的実行を行った場合の流れについて考えてみます。質権の目的物が、融資先企業が持つ第三者に対する債券であった場合、ソーシャルレンディング事業者が第三者に対し直接取り立てることになります。この場合、債権回収代行会社を使って回収する可能性もあるでしょう。また、民法上は原則禁止となっていますが(民法349条)、商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、流質をすることもできます。(商法515条)

不動産信託受益権や親会社株式、もしくは価値がある動産・不動産に質権を設定していた場合は、第三者に転売し回収することができるのです。

まとめ

質権は、抵当権と比べ汎用性が高い担保権です。不動産を直接担保にできないような案件では、質権を付けるという発想が一般的ですが、抵当権よりも効力が弱いということではなく、スキームの違いから担保権の種類を変えているということになります。そのため、質権でも抵当権でも、重要なのは融資額に見合う担保が設定されているかということだと言えるでしょう。

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