Topページ > コラム > ソーシャルレンディングで詐欺!?金融商品取引法で未然に防げるのか?
2017年2月7日

ソーシャルレンディング業界では今のところ詐欺という話は聞いたことはありませんし、貸し倒れ(ディフォルト)も発生しておりません。ですので投資商品としての実績は短いながらも非常に優秀であると考えられております。

しかしながら今後も詐欺を働くような会社は出てこないかと言われると100%ないとは言い切れないと思います。ソーシャルレンディング事業者は金融庁の第2種金融商品取引業の登録をしているので安心ですとネット上の記事や雑誌等でも書かれていますが、果たして本当にそうでしょうか?

この記事では過去に詐欺事件を起こした企業と金融商品取引業の登録の関係性を調べてみたいと思います。

金融商品取引法、施行前

現在の金融商品取引法は2007年(平成19年)に施行されました。それまでは証券取引法という法律が定められており投資関係の商品は証券取引法の対象でした。金融商品取引法ができる前はファンド形式による集団投資スキームは証券取引法の対象外でしたが、匿名組合を含む集団投資スキームが金融商品取引法の対象となりました。

まずは金融商品取引法が施行される前に起こった詐欺事件を振り返ってみます。

平成電電

平成電電は2005年10月に経営破綻した通信事業者です。インターネット初期の時代に無料プロバイダー事業や固定電話サービスなどの事業を行っておりました。

平成電電の関連会社は匿名組合の投資スキームを利用して、年利10%を謳い約19,000人から約490億円を集めました。関連会社が通信機器を購入してそれを平成電電にリースすることで配当金を払う仕組みでしたが、途中からは機器は購入されておらずに自転車操業的に運営されていました。初期に投資した一部の方のみお金は返ってきたようです。

平成電電は恐らく最初から詐欺を考えていたわけではないと思います。最初は真っ当に運営していながらも資金繰りの苦しさから徐々に悪い方向に流れていってしまったと思われます。

ワールドオーシャンファーム

「フィリピンでエビの養殖事業を行っている、投資すれば1年で元本が倍になる」との名目で約35,000人から約850億円の資金を集めた詐欺事件です。ワールドオーシャンファームも匿名組合の投資スキームを使い資金を集め、匿名組合員が他の出資者を探してきて投資した場合に紹介料が手に入るというネットワークビジネスのような仕組みも構築していました。

この会社自体は実態はほとんどなく、2005年に詐欺目的で設立された会社です。完全なポンジ・スキームであり2007年頃から配当が滞りはじめ、2008年に破産手続きとなりました。

金融商品取引法、施行後

ここからは金融商品取引法の施行後に起こった詐欺事件です。

MRIインターナショナル

設立は古く1998年、アメリカの診療報酬請求債権(MARS投資)を使ったファクタリング投資という名目で年利6%~8.5%の高利回りが得られることを謳い文句として投資を募っていました。主に日本人から投資金を集めており被害総額は約1360億円、顧客数は約8700名に登ります。

本社はアメリカのネバダ州で日本に支店登記をしており、米国法人として第2種金融商品取引業者の登録をしておりました。2013年に詐欺事件が発覚し、発覚後にMRIインターナショナルは金融商品取引法に基づく登録の取消等の行政処分を受けました。

ヴァンネット

まだ最近の話なので覚えている方もいるかと思いますが、ヴァンネットはワインファンドとして投資家から資金を集めていました。帝国データバンクによると2001年~2014年の間に25本のワイン投資ファンドを組成し、延べ1989人の出資者が総額77億4,600万円を投資していました。

この会社も償還を迎えたファンドの償還金を別のファンドから流用することで支払いをする形をとっており、いわゆるポンジ・スキームによる詐欺となります。そしてヴァンネットも金融庁の第2種金融取引業者の登録をしておりました

最終的には第2種金融商品取引業の登録取り消し命令受け、その後、保管してあるはずのワイン在庫数も帳簿とはまったく合致しないことが明らかになり破産手続きとなりました。

例外の事件

安愚楽牧場

安愚楽牧場は約7,3000人から約4,200億円もの資金を集めた和牛オーナー制度です。2011年に経営破綻して多くの方が被害にあわれました。安愚楽牧場に関しては詐欺とは言い切れず、口蹄疫や東日本大震災による原発問題によって急激に経営が悪化してしまいました。安愚楽牧場での損失に関しては投資家の責任も大きいかと思います。実際に詐欺での立件は見送られております。

安愚楽牧場の場合には金融商品取引法の対象ではなく、預託法の対象であるとの事でした。

AIJ投資顧問

AIJ投資顧問は主に企業年金の運用を行っており、実際には預かった資金の運用に失敗しているにもかかわらず虚偽の報告をして好調を装っており、実際には約2,000億円弱の運用資産が消失しておりました。

AIJ投資顧問は金融商品取引法による「投資運用業」として登録があり、第2種金融商品取引業の登録はありませんでした。ただし実質的な子会社でありAIJ投資顧問が組成したファンドを販売していたITM証券は第2種金融取引業の登録があり、AIJの事件と共に経営破綻してしまいました。

まとめ

ほとんどの詐欺事件ではファンドの償還金や分配金の支払いに対して、自転車操業的に別のファンドの出資金を流用する、いわゆるポンジ・スキームによる詐欺となります。金融商品取引業が施行され、第2種金融商品取引業の登録をしているにも関わらず詐欺事件は起きており、登録しているから安心な企業とは言い切れないという事がわかります。

もちろん怪しい噂が出始めた段階で金融庁による検査が行えるので被害が大きくなる前に発覚する可能性は高くはなりますが、完全に防げる制度ではないということを認識する必要があるでしょう。

ソーシャルレンディング事業者は匿名組合による出資の募集をするには第2種金融商品取引業の登録が必須条件となっておりますので登録はしていますが、登録後にポンジ・スキームによる詐欺をする可能性がゼロとは言い切れません。最初は志高くはじめた事業だったとしても資金繰りに厳しさにより、途中から資金の流用を初めてしまうようなケースも過去の事例を振り返ると充分に考えられます。

結論として、我々投資家は常に事業者をチェックしながら少しでも怪しいと思った時には利回りの誘惑に負けずに潔く撤退することが重要であると思います。

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